***背中に触れたゾロの胸に泣きたくなった。 いつも寒々と貫かれる事しか知らなかったのに、知ってしまったあいつの体温。  ・・・ダメだったか? 明るいトコで嫌いな俺を見て・・ 便所扱いしてるそんな奴が、痛みに泣いてんの見たら 引くよなやっぱり。***








 優しくしてやろう、せめて苦痛のないように。






 何でか、そんな事を思って歩いた。



 今まであいつが仕掛けてきた悪戯への報いだと 自分に言い聞かせながら散々してきたくせに

 性質の悪いゲームに付き合う気は無いと 思い知らせるだけの行為だった筈なのに・・・そう思った。



 港に着くと羊頭の船は、白みはじめた空と朝日を背負って のんきに波に揺れていた。





 キッチンには、複数の人の気配がする。

 極力自分の気配と足音を消して近付くと コックとルフィの気配がした。
 キッチンのドアを開けようとして 中の雰囲気がなにやらいつもと違う気がしてノブから手を離す。
 壁に沿って進み小窓から中を覗くと 中にいるのはやはりコックとルフィの2人だ。

 だが、そこに見えたのは、人一人分の間を空けて向き合って立ったまま、ルフィの肩に額を乗せるコックと その金の髪を撫でながら残った手をコックの肩に置くルフィだった。





 心臓がばくばくと音を立てた。


 ・・・入っていけねぇ。

 そこにいるのは仲間なのに、俺は気配を殺したままキッチンの外にいた。








 どれ位そうしていたのか、
 暫くすると食器の擦れる音と水音が聞えてきて キッチンはいつもと同じ雰囲気に変化する。
 小窓から中を確認すると二人の姿は離れていて、シンクの前にコック、テーブルにルフィがいた。
 俺は、ごくりと唾を飲み込むと わざと音を立ててドアを開けた。
 中には ドアを開けても振り向かないコックの背中と テーブルにへばりついてこちらを見るルフィの姿があった。










 その日。
 ルフィはいつもの羊頭にはいかず、なぜか黙ってキッチンにいた。





 ・・・・男を優しく抱く。 って、どうやるんだ?


 キッチンで酒を呷り、コックの後ろ姿をみながらそんな事を考える。
 隣で大人しく座っているルフィを 珍しいと思いながら。
 島に寄港したら船番か、飯の時位しか姿を見せない男が 黙ってキッチンに居るのは不思議な光景だ。
 海の上でさえ、いつもなら食べ物が無くなるとキッチンからでていくのに、
 今日は・・・雨降ってる訳じゃねぇしな。 つい窓の外に視線を投げる。
 空は雲が増えたものの、まだ晴れている。

 珍しい日もあるもんだ。


 そういやぁ、俺がラウンジに顔を出した時一瞬 鋭い目をしやがった。
 ・・・すぐにいつものルフィに戻ったけれど。
 何故か、その一瞬の目がいつまでも脳裏に残っていた。








 昼過ぎにナミがルフィを探しにやってきた。

 ナミが持ってきた大食い大会出場という 普段なら飛びつきそうな話に 今日のルフィは乗り気ではなさそうだ。
 食いモンの話なのに珍しく返事を渋ってやがる。
 それでも優勝したら買ってあげるというご褒美や、大会に出るメニューの話をもったいぶって話されると、些か興味が湧いてきたようだ。

 やがてナミに手を引かれ、コックに背中を押されてルフィは船を降りた。


 それを見送って 見張りのコックと俺の2人だけが船内に残る事になる。




 ようやく邪魔者の居なくなったキッチンで オレはコックをいつもと違ったやり方で抱こうと押し倒した。














 キッチンの片隅に畳まれた毛布を乱雑に広げそこにコックを転がした。

 まずは・・・。 破く事の無いようにコックの服を丁寧に脱がす。
 薄っぺらいシャツを切っちまわないように気をつけた。
 抵抗もしないが、自分から動こうとしないコックにじれったさを感じながら 俺にしては我慢強く脱がせていった。
 



 昨日とさほど変わりない日の光が差し込むキッチンの床に 白い肢体がうつ伏せに横たわっている。
 背中と尻の辺りに 黄色く肌に馴染み治りかけたものと 蒼く痛そうな痣が散っているのが目に入る。
 これは、俺が付けた跡・・・だ。
 俺がコックを犯す度に新しい痣が増えていく・・。

 罪悪感と 征服の高揚と ざまぁみろという感情が、俺の中で同居している。
 俺の雄は、熱を持ちはじめていた。














 聞きもしないのに勝手に1人 酒場で男の抱き方の講釈をたれてくれた金髪の男娼の言葉を思い出す。


 最初から濃厚なキスをしろだと?



 ……却下。

 相手はコックだ。 しなくていいだろ
 ・・・俺は娼婦とさえ キスなんてしたこたぁねぇ。
 好きな奴相手って訳じゃァねぇんだから、んなもん必要ねぇだろ? ここにあるのはただの処理さ。 
 第一コックは顔を横に倒し こちらを向いていない。
 目も瞑ったままだ。

 どこか…イーストブルーのお気に入りの男の事でも想い浮かべてやがるんだろう、ケッ…胸くそ悪い。








 抱き締めて体の線を撫で上げろ。 だと?


 無理。

 もう床に押し倒した状態だから、抱き締めるなんて出来ねぇよ。

 ・・・・・・・仕方ねぇ。
 なで上げりゃいいんだろ? 

 白い背中に掌を落とし 肩甲骨から尻に向かって手を這わせると コックの身体がビクリと動いた。
 俺が付けたであろう痣の中に埋もれるように 傷跡が一つある。 以前雪山で病気のナミとルフィを庇って怪我したという手術の後か?
 散々、コックの身体を好き勝手していたくせに 今頃それに気が付いた。 少しだけ肉の盛り上がったそこを指でなぞる。
 女のように優美ではない 固い曲線を描く腰のラインにも手を這わす。
 滑らかな肌がそう感じさせるのか、不快感など無かった。
 それともいつの間にか 俺の手に馴染んでいたのか?

 強弱をつけて撫で回す度に指に当たる傷跡が 薄く色付く。
 組織の薄いそこが如実に コックの血流を示すように。



 背中の滑りに気をよくした俺は、わき腹から肩に指を這わせて コックの肩を引いた。
 つられて上がる顔と身体を反転し、コックを仰向けに寝かせた。