*** 自分の痛みには案外強いんだ、 俺。
体の痛みなんか 胸の痛みに比べりゃつまんないもんだ。***
解放を迎えた俺は、手探りでコックのジャケットを拾い、ポケットを探りマッチを取り出してランタンに灯をつけた。
暗闇に慣れた目に光が突き刺さりハレーションがおこる。
慣れない明るさに 暫し目を瞑った。
閉じた瞼の裏に明かりが馴染む頃、俺はようやく目を開けた。
やけに明るく感じるランタンの灯りに映し出されたのは、ズボンがずり下がり、足首にまとわりついたまま身動きしないコック。
それは無理矢理身体を開かされた事実を味あわせる為に
わざと片足だけに残したものだ。
仄かな灯りに映し出されたのは 紛れもなく胸も平らな 柔らかみのないコックの男の身体だ。
その白い双丘の間から太ももにかけて 鮮血が滴って幾筋かの流れをつくっているのは挿入した時の傷だろう、。
その流れの源から
俺の吐き出した精液であろう
血と混ざったピンクがかった白が 時折ゴプリと流れ出している。
その度にビクリとコックの背中が僅かに揺れるのが、まるで機械仕掛けの人形のようだ。
その様がまるで音でも聞こえてくるようで 俺はその場所から目が離せない。
気付くと先程放ったばかりだというのに
俺は萎えるどころかまた勃起していた。
コックを犯す前までは 男など性の対象にはならないと思っていたのに たった一度の行為でそれは脆く崩れさり
俺の自身は今 大きな快感をもとめ
期待にうち震え、はしたなく先端からヨダレを流しているのだ。
全身の血がそこに集まるような気さえする。
未だ息を押し殺しているコックは うつ伏せに力なく横たわって身じろぎさえしない。
もう一発やっちまうか・・・。
俺の中の欲望が 悪魔のように囁きかける。
一度やっちまったんなら 何度やろうが同じさ。
どうせ蔑まれるんなら やっちまえ。
元々、からかってきたコイツがいけねぇんだろ。
悪いのは俺じゃねぇ、コックの所為だろ。
俺は横たわるコックの腰を持ち上げると
悪魔の声に、従った。
一度目の挿入より 格段とスムーズなそこは、やはり俺を包み込むように締め付ける。
俺はただ 己の快楽の為に 腰を振った。
先程放った精液とも血液ともわからない粘着質な体液が 2人の結合部分でいやらしい音を立てる。
下でコックが、苦痛を含んだくぐもった声を発したが それさえも俺の高ぶりを強めるだけだ。
こみ上げる二度目の射精感に 俺は一際強く腰を叩きつけると コックの中に欲望を吐き出した。
格納庫で起きた事には 誰も気付かなかったようだ。
何時もと同じ日常がそこにはあった。
・・・言わなかったんだな。
今朝もいつものように遅れてキッチンに入ると、ナミが
「サンジくんのことどうなのよ。少しは答えてあげなさいよ」
と新聞を広げながら俺を見上げてくる。
正直ほっとした。昨日あんな事をしておきながら知られていなかったことに、
朝からコックと2人きりにならなくて済んだ事に。
「ね、サンジくんだって少しくらいは構って欲しいでしょ。」
小首をかしげ コックを見るナミの視線を追って俺は 今日初めてコックの顔を見た。
口の端に小さな鬱血の後がある、あれは昨日俺が殴った痕か・・。
それについて どんな言い訳をしたのか・・・俺はナミに咎められる事は無かった。
コックは、食器を拭く手を止めて ナミに「そうですね。」と小さくはにかんで笑った。
朝から暑い日ざしが降り注いでいるというのに 今日もコックは白い長袖シャツを身に纏っている。
蘇る白いシャツの残像。
そういえば 夕べあれからどうしたのだろう。
俺は 自分の衣服を直すと 格納庫を後にした。
倒れたコックと 汚れた部屋をそのままにして。
けっ、女と見ればでれでれして、そのくせ俺を好きとか言いやがって アホじゃねぇのか?
ナミと笑いあうコイツを見る限り、何時もと変った事は何も無い。
やはりコックにとって あんな事はなんでもない事だったのだろうか?
今更俺に汚されようとも屁でもねぇって事か。
きっとあのレストランでは
あぁいう行為が日常的に行われていたのだろう。
男ばかりの海の上では珍しくない…よく聞くことだ。
だからコックはさほど抵抗しなかったし あんなことのあった後でも
普通にしていられるんだ。
じゃなければ奴の心臓に毛が生えてるのか
よっぽどの好きものか。
そう考えて無性にムカムカした。
とにかく…
あいつにゃ、男とのSEXは飯を喰うくらい普通の事。
なんだろう。
・・ただ やはり、怒ってはいるのか、俺の顔は見ようとしねぇ。
ま、いいさ。付き纏われるくれぇなら その方がましだ。
「・・ロ・・ゾロ?」
「んァ?」
「どうしたの?ぼんやりして。わかった、あんた寝すぎなんでしょう。寝すぎると余計ボーッとしたりすんのよね・・。
そんな暇あるんならサンジくんの手伝い位しなさいよ。やる事はいっぱいあるんだから。
サンジくんだって手伝ってもらえたら嬉しいのよ。・・わかった? ゾロ。」
それに続けて 「ね、サンジくんだって、構って欲しいわよね?」 というナミに
「んナミさん///・・・・・・そんな、ストレートに。」 と言って、にやけた顔をこちらに向けながら 目を合わす事の無いコックを 俺は冷めた目でみた。
ほぉ。構って欲しいと言うのか。
あんな事をされても。
では、構ってやろうじゃねぇか・・。
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