| おふろ |
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「何だ混浴じゃねぇのか・・。」
そう肩を落として見せたコックは今、チョッパーの背中を流している。 体を洗いながら船長に 「俺は、温泉我慢大会で五年連続優勝した経歴があるんだぞ!」 と 聞かなくても経歴詐称だとわかるウソを付いているウソップの背中が、見慣れたもののように感じるのは 普段着ている服の所為か? 素肌に着たオーバーオールから 覗く背中は案外よく目に入る。 サイズを整えていないのか 肩から滑る様を何度か目撃した事がある。 その度に 「肩紐直せよ」 と言っていたんだが、 「ゾロが腹巻止めたら俺様も考える」 など言いやがるからいつからか言うのは止めた。 ウソップの背中は船長と同じくらいだ。 大きな傷跡は無いものの 小さな生傷が数個見受けられる。 あれは 船長とのどたばたと 盗み食いが見つかってコックに蹴られて出来た傷だろう。 船長が、伸ばした手でウソップのその背中を 洗うと 途端に悲鳴が上がった。 文句を言いながらも 顔は笑っているところを見ると 別に怒っている訳ではないらしい。 コックの背中は 隣に並ぶ船長と同じ位に華奢だ。 身長は違うし生きてきた年月も違う。 なのにその背中は未完成な少年のように若干細身だ。 いや、身長に取られている分だけ 余計にそう見えるのかもしれない。 先程間近で見たコックの背中は俺より細いものの 程よく筋肉に覆われていた。 近付いて触れてみれば細いながらもきっと 逞しい雄としての体を感じさせるに違いない。 コックに体を洗ってもらっているチョッパーは 気持ちいいのかうっとりと目を閉じた横顔だ 全身毛むくじゃらなチョッパーは、顔以外全身泡まみれになっている。 露天風呂に入りながら洗い場を見ると背中が並んでいた。 その中でも色の白いのはコックだ。 濃く色付く背中とは違って、その間に挟まれている 年長者であるコック。 ほんのりと赤く染まったその背中には 一際色濃い場所がある。 それは 仲間を助ける為に付いた傷。 聞いた話では仲間の危機の為に 躊躇う事など無く 飛び込んで行ったらしい。 ・・・アホだ。 だが、その場に居たら俺もそうしてたかも知れねぇけどな。 傷一つ無い(であろう)俺の背中。 そして又、自分の信念で飛び込んだ結果のコックの背中。 なんと遠く離れた信念を持つ2人なのだろう。 それでも俺にとってコックは戦闘時に背中を合わせるのがしっくりと来る相手なのだ。 いけ好かない相手だが その白い背中がもう傷つかないといいと思う。 |