マリモ剣士とラブコック+クルー達における、愉快な日常
サイトマスタ4人で交互に書いております!
〜MASTER〜
つる
&
リキン
&
めいれん
&
もる
06年ゾロ誕合同企画
* マリモと愉快な仲間たち *
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めいれん@ウソップ |
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キッチン奇譚 2006-11-04 21:36:51 |
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少し前に聞いた話だ。夜中に喉が渇いたチョッパーが、キッチンに行ったらしい。 ドアを開こうとした時、中で音が聞こえたって言うんだ。 …中は真っ暗で誰も居ねェってのに??ヤツは入り口に立ったまま、固まったらしい。
チョッパーに言わせりゃ、何やら掠れたような、唸るような小せェ声。 硬直から元に戻ったアイツは、恐る恐る中を覗こうとして… それをまるで見計らったように、中でゴツン!って大きな音がしたそうだ。 チョッパーは一目散に男部屋へ戻って、震えながら夜を明かしたとか。 何だ、俺に言ってくれりゃその原因を突き止めてやったってのに…! そう、俺様は偉大なる海の戦士、キャプテン・ウソーップ!!!
話を聞いてから今日、キッチンを預かるサンジに聞いてみたんだが、えらく長い事煙にムセてたな。 ようやく咳が治まった頃、アイツは「良く解らねェ」の一言だけだった。 やっぱサンジに聞いても解んねェよなァ? こ、ここは、や、やっぱり…チョッパーと夜更けのキッチンに探りに行くべきか? や、でも、2人じゃ敵が侵入してたら物騒だからな、うん。 …キッチンの主、サンジ君を名誉あるボディガードに引き込むか。
って、居ねェ〜〜〜!?! 数秒のうちに目の前から消えたアイツを探してたら、後甲板で凄ェ爆音がした。 …あっちじゃゾロが昼寝してたな。とすれば、ゾロが吹っ飛んだ音か。 ん、何かサンジが怒鳴ってるぞ。 「テメェの所為でコブ出来ちまったじゃねェか!!」「だからあそこではしねェつったろが!!」 …ん? …んん??? |
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>>> リキン@ロビン |
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雨が降るまで 2006-11-06 12:33:54 |
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秋島だっていうのに、今日はとても暑いわ。
今朝、突然に熱風が吹いてから、まるで真夏に逆戻りしたみたい。
今まで涼しかったから、さすがに堪えるわね。
・・・まあ、コックさん、ご親切にありがとう。
丁度冷たい物が飲みたかったのよ。本を読んでも暑くて頭に入ってこなかったし。
あぁ、美味しいわ。さすがね。
お礼にいいこと教えてあげる。
可愛い船医さんが、ずっとアナタのこと心配しているわよ。具合が悪いんじゃないかって。
アナタの後を隠れてついて回っているわ。
もちろん私だって気になるわ。その長袖。襟も袖もきっちりと留めたボタン。暑いでしょ、コックさん?そんなに汗をかいて。
船医さんはきっと、長袖は寒気のせい、汗は熱のせいって思っているわよ。
うふふ、どうしたのかしら?急に赤くなって。
コックさん?聞いてる?まだ肝心な事を話していないの。
シャツを色の濃い物に着替えた方がいいかもしれないわ。
汗でシャツが体に張り付いているのよ。
遠目には分からないでしょうけれど、こうして近くで話をしていると・・・・。
あら、ごめんなさい。うっかり数を数えてしまっていたわ。
剣士さんったら、よほど強く吸ったのね。濡れたシャツの上からでも・・・・。
・・・・行ってしまったわ。
もうすぐ雨が降り出して2・3日は降り続くだろうって、さっき航海士さんが言っていたから、もう少しここで風に吹かれながら誰かとお話していたかったのに。
残念だわ。
あら、向こうで剣士さんがかなり激しく起こされているみたいね。
こっちにやってくるかしら。
雨が降り出すまで、今度は彼に話し相手になってもらえると嬉しいわ。
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>>> つる@チョッパー |
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べっこう飴の落とし穴? 2006-11-07 01:13:46 |
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おれがキッチンに入っていったら、サンジが 「おうチョッパーか。そこにある飴、どれでも好きなの食っていいぞ」 って言ったんだ。 テーブルの上にはたくさんのべっこう飴が作ってあって、おれは喜んで一本もらった。桜の花の形のやつ。 「うまいなサンジ!」 そう言うとサンジはちょっと渋い顔をして、 「いや、ちょっと色が濃くなりすぎた。失敗だ」 と答えた。 「べっこう飴ってのはな、砂糖を鍋で煮詰めて型に流しいれるだけのシンプルな作り方なんだけどよ、それだけに鍋を火から下ろすタイミングが難しいんだよ。 煮詰まるまでに結構時間がかかると思って、ちょっと一服しにキッチンの外へ出たのがまずかった…!」 「な…何がまずかったんだ?」 どきどきしながら尋ねたおれをきっとにらみつけて、サンジはいまいましげに言った。 「バスルームにな! 思いもかけない落とし穴があって大変だったんだよ! おかげでキッチンへ戻るのが遅くなって、べっこう飴を危うく焦がしちまうところだったんだ! せっかくウソップに鋳型までつくってもらったのによ〜!」 「ええっ、落とし穴!? バスルームにか!?」 「おう! クソでっかい、緑色のな!!」 「えええええええ〜〜〜〜っ!?」 緑色の落とし穴なんて! とうろたえるおれの後ろでドアが開き、ゾロが入ってきた。 「おいコック、風呂掃除終わったぞ」 風呂掃除!? おれはあわててゾロの方を見た。 「ゾ、ゾロ、バスルームにいたのか!? 落とし穴に落ちなかったか!?」 「ああ? 何言ってんだチョッパーおまえ」 「だってサンジが! 緑色の落とし穴にはまって大変だったって!」 「…ああ」 おれはあたふたしまくってたけど、ゾロは軽く片眉を上げて笑った。 「何でもねェよ、気にすんな。それよりいいもん食ってるじゃねェかチョッパー。おいコック、この飴はおれももらっていいんだろ」 サンジは黙っていたけど、ゾロはその返事も待たず、ハートの形をした飴を一本手にとっていきなりばりばりと噛み砕いた。 「おう、これこれ、この味だ。懐かしいな〜。ガキの頃食って以来だ」 ゾロが食べるのを見てると、べっこう飴というよりおせんべいみたいだ。 サンジがまた、「しっかり味わって食えやコラァ!」とか言うんじゃないかと思ったけど、意外なことに今日のサンジは柔らかい雰囲気で、ゾロの食いっぷりを黙って眺めていた。 「…ったく、もう少し早いタイミングで火からおろしてりゃ、もっと美味い飴ができたのによ。少し焦げ臭くねェか?」 「いや、うめェ。味はこんなもんだ。おれはこれくらいの方が好きだ」 ばりばりと琥珀色の飴を噛み砕きながら、ゾロがサンジににかっと笑いかけると、サンジは少しあわてたように顔を背けてた。 「…年に一回くらいはな。マリモにだって、好きな餌やっておかないとな」 小声でサンジはそう言ったんだけど…あれ? じゃあべっこう飴って、ゾロのリクエストなのか? ウソップに鋳型から作ってもらったって言ってたよな、サンジ。ずいぶんな熱の入れようだな〜。 でも、そうだな、そういえばもうすぐゾロの誕生日なんだ。それできっと、サンジはゾロに優しく… 「おいマリモ、バスルームは隅から隅まできっちりピカピカにしてきたんだろうな!?」 優し…く……??? 「うるせェな、してきたよ。おかげで鍛錬の時間が削られちまった。これからやらねェと」 さっさと飴を食べ終えて、ゾロはそそくさとキッチンを出て行った。 誕生日…関係ないか。風呂掃除なんか言いつけられてるもんな。 だけど何でこんな昼間から、ゾロが風呂掃除しなきゃならないんだ???
その後すぐ、サンジもキッチンで仕事を始めたので、おれはべっこう飴を舐めながら甲板に出た。まあ、バスルームに落とし穴なんかないってわかったのはよかったよな。 |
| もる@ナミ |
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見張り台の幻 2006-11-08 02:09:54 |
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まったく、あいつらったら・・・。 健全な年少組もこの船には乗ってるってこと 少しは考えてくれないかしら? 最近 チョッパーや、ウソップが バスルームの落とし穴がどうとか、キッチンで怪音を聞いたとか船の異変について話をしてるのよ。 「ナミ。お前何か知らないか?」 なんて真顔で聞いてくるけど、なんて答えろっての?あたし答えに困っちゃったじゃない。 「知らないわ、お化けでも出たんでしょ。」って言ったら、ウソップったら調子に乗って船の七不思議だ!なんて勝手に話し作って・・・・ルフィまで巻き込んで大騒ぎ。 おまけにミステリーツアーの募集組んだりしてるのよ、夜中に格納庫とかキッチンとかバスルームを巡るんですって。 ま、つられるのはルフィとチョッパー位なものなんだけど。 今夜は寝ないで探検だ!って息巻いてたわ。 翌朝の仕込をしていたサンジくんは、シンクに向かったままそ知らぬ顔でウソップの話に相槌打ってたけど 確実にタバコの本数が増えてたし、ゾロは何にも言わずただ酒を飲んでただけだったけど 時々こめかみがピクピクしてるのをあたし見逃さなかった。 あの様子なら きっとあいつら今夜は大人しくしてるんでしょうね。だってクルーには二人の仲を隠してるみたいだから。 ・・・・?それなのになんであたしが知ってるのかって? それはね・・・・
あれはどれくらい前かしら・・・・サンジくんの作ってくれたサイドメニューがあまりにも美味しいから つい飲みすぎちゃった日だわ。 喉が渇いて夜中に目が覚めて部屋を出たの。 綺麗な月につられて見上げた視界に入った見張り台で 人影が動いたのよ。こっちに背を向けていたけれどすぐにわかったわ。月の光に金の髪が反射していたから。その姿が月に映えて あんまりにも綺麗だったから、あたし見てたの。立ち止まったままずっと。 そしたらね、サンジくんの向こう側で もう一つ影が動いたの。 その影はサンジくんと同じくらいの背の高さで、・・・・・見慣れないほどの優しい手つきで金に輝く頬に手を添えたのよ。 影が重なってキスしてるんだと解かったわ。 あの二人が?って思いもあったけどそんなのより あまりにも幻想的で目が離せなかった。 影が一度離れて、太い腕がサンジくんの背中に回って、ようやくその肩越しに月に照らされたゾロの顔が見えたの。・・・・あいつ、あたしを見てニヤリと笑ったのよ! あたしの顔を見ながら 白い項に鼻を埋めていったわ、徐々にそれが下がって やがて見張り台の縁に隠れて二人とも姿が見えなくなっちゃった。 あたしは黙って元来た道を戻ったわ。 もう喉の渇きなんてどうでもよくなっちゃったから。 翌日二人の様子はいつもと変わらないし、あれは夢だったのかも知れないと思ったけれど ゾロが昨晩みたいな不敵な顔をして「見なかったことにしとけ。」って言うから あれは本当のことだったのよ。 サンジくんは隠してるつもりらしいけど ・・・あまいのよ。あの男まるで見せ付けるようにあたしに威嚇してきたのよ、忘れられるわけないじゃない。 でもしょうがないから「10万ベリー」で手を打ってやったわ。 ね。ロビン、寛大でしょ? 私って。 |
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めいれん@ゾロ |
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必要ねぇ 2006-11-10 01:36:00 |
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あのアホとのケンカが増えてる。いつもの事?いいや、いつも以上っつー事だ。 「誕生日近ェんだ、メシを奮発してやっから希望を言ってみやがれ」 …ツラと言葉が一致してねぇ。俺はいつも、思う。ところが気の短いあのクソコックは俺の「間」すら、待てやしねぇ。 靴先をコツコツ、口からは煙をスパスパ、何とも迷惑そうな顔をしやがる。 煙いんでちっと顔を顰めりゃ、クソコックも待ちきれねぇのか顔を顰め返す。 「お前、耳ついてるか?聞こえねェのかクソマリモ??」 …マリモと言うな。俺が何度言ってもそう呼ぶお前こそ、耳ついてるか?心では思うが、言い返すのが面倒な俺はあえて聞き流す。 それでやっと「別にねぇ」と言や、ヤツはますます苛立った。 「お前は全く、いつもいつもそれか!!」「ねぇもんは、ねぇ。何が悪い」
答えてやったのに、何を不服そうにされるいわれがある。 「悪いに決まってる!普段なんも言わねぇから、特別にテメェの好物たんまり用意してやるつってんだよ! ンな人の親切を、なんでそんな簡単に終わらせるんだ!?」 怒る理由が解らねぇ。簡単も何も、思うとおりに返しただけだ。 「何も考えねぇでそうやって適当に、いつも返事しやがって!!」 なんだ、適当って。なんだ、いつもって。人をいい加減そうに言いやがった。 「俺はいつだってきちっと考え、答えてる」 目の前ではっ!!とアホ面が小ばかにしたように笑い飛ばしやがった。 「よく言うぜ、マリモ製の脳だからふわふわでユルイんだろ!?」 …大人しく聞いてりゃぺらぺらと。ふわふわか解らせてやる為、頭突きをしたら罵声と一緒に蹴りが飛んできた。
…こんなケンカを近頃始終やっている。そして見慣れた奴らは、好き好き言いやがる。 「肉大盛りで頼む!肉祭り!!」お前のリクエストは来年だ、キャプテン。 「読書も出来やしない。今度するなら、船の上じゃなく海でやって」海に落ちたら、俺達を置き去りにする気だろう。魔女め。 「なんで同じ会話で何度も同じケンカが出来るんだ!?」それはあのクソコックへ言え、鼻。 「ふふっ、相変らず仲良しさんね」…お前は論外だ、ロビン。 「なぁ、ゾロ。ほんとに喰いたいモノないのか?言えば解決するんじゃないか?」 「ないもんは、ないからな」 「でもサンジなら、何でも作ってくれるぞ。サンジに作れねぇ料理はないんじゃないか??」 …どうやらトナカイは、俺があのアホを気遣い遠慮してると思ってるらしい。 俺は足元の帽子にそいつは知ってるという意をこめ、手を伸ばした。
あいつが何でも作れるのは、よく知ってる。 俺の誕生だと腕によりを掛けてぇのも、何となく解る。それは俺だけに限らず、ここの奴ら全員にもそうだろう。 いつも最後はケンカでしり切れ、途切れちまうが。俺は決して適当に答えた訳じゃねぇ。 あいつが料理に関し奮発しようと、そうでなかろうと。 俺はいつも、満足のいくメシを喰ってる。だから、特に何かをする必要はねぇ。それだけだ。 |
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リキン@ルフィ |
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内緒の話 2006-11-10 14:00:14 |
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ナミ、本当か?明日は島に着くんだな?
うひょ〜〜!!久しぶりだなぁ。なぁ、でっけぇ島なのか?それとも!!冒険島か???
イテッ!なんだよ、なんでぶつんだよ〜、ナミのゲンコツはなんでか痛ェんだよな。
ふ〜ん、小さい港町のある普通の島?へ〜ぇ。
わかったよ、明日は宴だろ?大人しくしてるさ・・・。
へへっ!宴だ!肉祭りだ!俺は肉の大盛りじゃんじゃん喰うぞ!!
宴はいいよな〜〜。うまいもんがいつもより沢山あってよ〜。
・・・なんか腹減ったな。サンジにおやつ貰いに行くか。
でもここんとこサンジ元気ねぇんだよな。特に一人の時はよ。おやつ作ってくれねぇかもな。
いや、明日島に着くんだから、あるもの全部喰っちまっても大丈夫だな。
よし!食いもんだ〜!
??何やってんだ、ゾロは。
立ったまま寝てんのか?ドアの真ん前で・・・お、ドアが開いたぞ。
サンジだ。怖ぇ顔だな、またケンカか?ありゃ?ゾロが中に入ってドア閉めちゃったぞ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
今行くと絶対にサンジに蹴られるな。食いもん貰うどころじゃねぇな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
腹減ったな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ん〜、ケンカしてる間に勝手に喰っちゃえば分かんねぇかもな!
(そ〜〜〜っ)
んん?
ふ〜〜〜ん。
すたすたすたすた・・・・・。(ガチャ)(冷蔵庫物色中)
ナミがよ、明日島に着くって言ってたぞ。(もぐもぐ)
「!!ルフィ??てめぇいつの間に??」「・・・・・」
サンジ、このハムうめぇな。貰っていくぞ(もぐもぐ)。パンとチーズもいいだろ?
しししし、お前ェらは面白れぇな。内緒話なんて、女みてぇだな。
「!○▲□×●☆!!」「・・・・・(ニヤリ)」
サンジ、明日、肉特大盛りなっ!!(もぐもぐ)宴だからなっ!
すたすたすたすた・・・・・。(バタン)
お〜い!ウソップ〜、チョッパー、明日は島だぞ〜〜!♪!
冒険だ〜〜!!!
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つる@サンジ |
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コックの独白、剣士の告白 2006-11-11 10:38:13 |
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「ええ〜! ゾロ、今夜不寝番だったっけ!? 明日誕生日なのに!」 夕食後の洗い物をしていると、背後でそんな声が聞こえた。 そうなんだよな。おれも気になってたんだ。 「ゾロ、おれ、代わってやろうか?」 チョッパーの声が聞こえた。肩越しにテープルの方をうかがうと、クソ剣士はトナカイのピンクの帽子を軽くたたいて、 「いや、いい」 と、なんでもないような顔で答えていた。 「だって誕生日だぞ?」 「そんなもん関係ねェ。ふだんと別に変わらねェよ」 「なに〜〜〜!?」 ルフィの大声がした。 「なに言ってんだゾロ! 明日は宴会だぞ! 肉食うぞ〜なァサンジ!!」 いきなり話を振られておれはドキッとしたが、平静を装ってきいてみた。 「そうだな、たまにはいいだろ。てめェも食いてェもんがあったら言ってみやがれ、マリモ」 「別にねェ」 「……」 そうかよ。 ガタッと椅子を引く音がした。 「じゃあな、行ってくる」 誰にともなくそう言って、クソ剣士はラウンジを出て行った。
夜半過ぎ。 おれは夜食を持って、見張り台へ上っていった。いつもとまるで変わらない光景。 誕生日だからって、あいつには何も特別な想いはないらしい。 だけどよ…ひとつくらい、料理のリクエストはねェのかよ。 どんな料理だってつくってやるのに…コックのおれにできる祝いったら、それくらいのもんだし。 おまえにはなんでもない日でも…おれには特別な日なんだよ、ゾロ。 祝ってやりたいんだ。おまえの生まれた日をな。 それなのにてめェときたら…まったく、張り合いのねェ野郎だぜ。
見張り台の中をのぞき込むと、案の定壁にもたれて寝こけている剣士の姿があった。 見張りの役目、果たしてねェじゃねェか。 まあ、マジでやばいときには、野生のカンで目を覚ますんだろうけどな。 「おいマリモ、餌だぞ」 剣士の前にしゃがんで声をかけると、ゆっくりと剣士はまぶたを上げ、おれを見て薄く笑った。 「まったく…どうせ寝てるんなら、さっきチョッパーに不寝番代わってもらえばよかったじゃねェか」 「…いま何時だ?」 問われておれは戸惑ったが、とりあえず答えた。 「12時過ぎじゃなかったかな…なんでそんなこと聞くんだよ?」 夜食のトレイを差し出したおれに、クソ剣士は『違う』とでも言いたげな生意気な表情を見せた。 そして片手でトレイを取り上げて床に置き、もう片方の手でトレイを離したおれの手をつかみ、自分の方へ引き寄せた。 「不寝番で、今日…いちばんにてめェの顔が見られてよかった」 「…!?」 「来年の誕生日にも、いちばんにおれの視界に入るのがてめェだといい」
……畜生。 やられたぜ。
大きな掌が後頭部にまわり、精悍な顔が静かに近づいてくる。 おれはそっと目を閉じた。
料理のリクエストもしやがらねェ、武骨なマリモ野郎だが。 それでもやっぱり、今夜の誕生パーティーでは、腕によりをかけて、 こいつの好きな酒に合う、ありったけのご馳走を作ってやらなきゃな。
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もる@ゾロ |
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一番のキス 2006-11-11 23:58:46 |
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霞がかった意識の向こうで 甲板を歩く音が近付いて来た。 下で止まったそれは、音を潜めてるとはいえ、聞きなれた革靴の音だ。 やがて、ギシリと僅かなきしんだ音を立てて、美味そうな匂いと共に見張台に降り立った男の「おいマリモ、餌だぞ」その声に覚醒した。 あぁ、やっぱりお前かクソコック。 目を開ければ、特徴のある眉を歪めて俺をみるコックの姿があった。雲に半分身を隠した月の光が薄くコックを照らす。さっきまで見ていた夢に出てきたコイツを思い出し思わず頬が緩んだ。 ──酷く満たされた夢だった。 互いの望みを叶え、船長も ナミも ロビンも ウソップも チョッパーもそれぞれの道を進んでいた。 俺は、コック・・・サンジと二人 とある島にいた。どうやら店を営んでいるらしいサンジと共に俺は暮らしていた。大きくない小さな店だ。 小さいながらも繁盛するその店で、俺は気が向くとたまに手伝ったりして 今みてぇに喧嘩しながらも楽しく暮らしていた。 閉店後に交わす杯を一日の締めくくりに 月と海を見ながら二人で会話する。・・・・海賊稼業をやっていて穏やかな未来を過ごせるとは思えねぇが、うたた寝しながら見た夢に、俺たちの未来がこんな風ならいいと思える、酷く満たされた夢だった。 ──声に目を開ければ、夢の中でみたのと同じように月に照らせれたお前が目前にいた。 今も未来もお前と共に在ればいい。 ・・未来・・・・・あぁ、そういや明日は俺の生まれた日か・・・。ん?月がもうあんなに傾いているじゃねぇか。 「・・・いま何時だ?」 ちいっと不貞腐れたようなツラした奴に聞いた。 そうか、もう今日か! ・・・もっとよくてめぇの顔がみてぇ。 美味そうなトレイを倒さねぇように置いて その持ち主の顔を俺の方へと近付けた。
必ず来ると解かっていた。 不寝番には差し入れを欠かさないコック。 ここで待ってりゃぁ、日付が変わる頃に必ず来る。 俺の祝いの日 初めて会うのがお前だなんて、最高じゃねぇか! さっきの夢みてぇに、来年もその先もてめぇが一番側にいればいい。 目を見開いてすぐにフッと笑った弧を描く唇を塞いで、その感触を味わう。 そのまま押し倒しシャツを捲くろうとしたところで、コックの膝が俺の腹を押し返す。 「おいマリモ。夜食が冷めちまう。 ンなことしてねぇで食っちまえ。」 夜食よりお前の方が食いてぇと思ったが、そんなことを言うと 夜食もあっちの方もお預けをくらいそうだから 大人しく身体を起こしておにぎりと味噌汁を啜った。 こいつの作るもんはいつもそうだが・・・、今日もすっげぇ美味かった。
結局夜が明けるまでコックは見張り台から降りずにいた。 「不寝番は寝るんじゃねぇぞ。」と言いながら俺に身体を寄せて眠る。 寝顔を晒すコックを腕に抱きながら俺は夜風を浴びた。
「寝てんじゃねぇよ、このクソボケマリモ!! てめぇ不寝番だろうが。」 腹に鈍い痛みを感じて目を開けると もう空は白んでいた。あぁやっちまった、また寝ちまった・・。ま、異常は無かったみてぇだしいいじゃぁねぇか。 「・・・・いてぇな、祝いの日くれぇ少しは優しく起こそうって気はねぇのかよ。」 立ち上がったコックの顔は、夜明け前ながらも影になってよくわからないが、いつものように楽しそうに、凶悪そうにしていることだろう。 声が笑っている。 「ないね。・・・・俺と一緒にいるんならそんくらい我慢しとけ。手加減する気はないぜ?・・・来年も、再来年も・・・その先も、一生な。」 コックがかがんで、その顔が近付いてくる。 影って見えなかった顔の表情が見えた。極上のいいツラだ。 これから先、祝いの朝でも手加減しねぇってのは・・・・誕生日一番最初に見られるのはお前ってことだよな。 「上等だ。」 俺はコックの後頭部に手を伸ばすと 朝一番のキスを手に入れた。
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めいれん@サンジ |
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マリモと白い波 2006-11-15 23:27:11 |
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目を覚ますと、隣に緑のカタマリ発見。おっ、新種の巨大マリモ。 わしゃわしゃ撫ぜたが、ふわふわというよりざらざらって感じだな。 …って、イビキが煩ェよ。マリモだろ、マリモ。植物はぷかぷか浮かぶもんじゃねェのか。 つーかこいつは、沈んでやがる。真っ白なシーツの波に。一服しようと探って、手元にねェと気付いた。 クソ、このど阿呆。シャツをあんな遠くまで、放り投げやがって。 皺に…なってんな。投げるなっていつも言ってんのに、このアホは理解しやがらねェ。 あーアレか、やはり植物に人語を理解するのは困難な話か…「ってオイ!!」 寝返りを打った緑は、俺を腕の中に…って俺は抱き枕じゃねェ!! 「オイ、マリモ!!」「アホ剣士!!」「クソ筋肉!!」…どんな罵倒にも起きやしねェ。 船の上なら蹴り飛ばすトコだが、幸い今日は陸の上だし、折角貰った休日だぞ? 「テメェはこんな時まで寝倒すつもりか?」
一向に起きねェ筋肉ダルマの鼻を摘んだら、汽笛みてェにプヒ〜って音がした。 それでも気にせず寝れるこいつの神経は、きっと大根よか太いと見たね。 ピューとかヒューとか鳴ってる鼻音を聞きながら、昨日のコイツを思い出す。 買出しに出てたら、凄ェ形相で夕方に追ってきやがった。見張り番を終え、眠ってたコイツが、だ。 荷物持ちのチョッパーをビビらせやがって、何事かと思えば。「陸に上がった時位、ずっと側に居やがれ」だって? 俺はお前の祝いに、あちこち喰いモンを買い捲ったってのに。 呆れるやら、可笑しいやら、だ。
俺は笑いながら、頬を引っ張ってやる。 「おーい、マリモ。貴重な一日が終わっちまうぞ?」 惰眠で終わるのか、お前は。…いや、コイツならありうる。 そんな事を考えてたら、気付けばますますヤツの顔が近くなってた。 「オイ。暑苦しい顔、寄せんなよ?」 向かいでうっすら、翠の瞳が俺を捉える。ヤツはまだまだ眠そうな面で、寝言のように言った。 「俺は満喫してっから、これでいい」 |
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リキン@ウソップ |
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寡黙なキャプテン 2006-11-17 00:28:29 |
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いろいろあったが、無事に出航できて、何よりだ。
俺様のナイスな機転と煙星がなかったら、まだ今頃も港でかくれんぼ大会の最中だったかもしれない。
しかし、なぜあんな静かな町でトラブルを?災難の星の下で生まれたのかルフィは?
・・・まあいい。さすが事実上の船長と言われるだけのことはあるぞ。グッジョブ俺様♪
常日頃、俺様は思っている。
この船で人間らしい暮らしを営めるのは、ひとえに俺様がいるお陰なんだと。
・・・大げさに聞こえるかもしれないが、例えば今俺様がやっている洗濯にしたってそうだ。
ナミやロビンだって、上着の洗濯はこの俺様だけには任せてくれるようだ。・・・いつの間にか俺様がやらせていただく形になっているのが解せないのだが、まあその辺の細かいことはいいだろう。
それぞれの繊維に合わせた、きめ細やかな洗剤の分量や力の加減。すすぎの回数や干し方だって、俺様が絶えず気を配っていなければ、この船の衣類はあっという間に全滅だ。
シャボン遊びが大好きなルフィやチョッパーに任せていたら、服は色素がなくなるまで洗剤の泡の中だ。
あの馬鹿力のゾロは、半分眠りながら、穴が開いたって同じ場所をゴシゴシ擦り続けるだろう。
サンジは上手くやるだろうがな・・・。しかし何しろアイツは一日中水仕事やっているんだ。なるべく他の奴らを俺様が上手に指導して、サンジの手の負担を減らしてやっているのさ。
それに、今開発中の、タオルやシーツなどが簡単に洗濯できる手回しマシーンが完成すれば、もっと洗濯は楽になるな。
自分でも惚れ惚れするくらい、気が利いているじゃぁないか。
さっきもサンジが洗おうとしていたシャツを、俺様が引き受けてやった。キノコ少な目(無しは却下された)の交換条件でな。。。お、これだな。
サンジのシャツはデリケートな素材が多いから、形を崩さないよう、布目に沿ってソフトに洗わねばならない。
ン?・・・・・またか。
あ、すまない。何でもない、独り言だ。いやいや、聞かない方が・・・・・。
実は、ここだけの話なんだが、サンジのシャツはなぜかすぐにボタンが取れてしまうようなのだ。
特に胸元のボタンが、何度付けかえても、まぁ、その・・・・・。まるで引きちぎられたかのようにな。
おお!気付いてくれたか!そうなんだ。クルーのことを誰よりも案じるこのキャプテン・ウソップ様が、工房での仕事の合間にそっとボタンを付けておくのだよ。
お洒落を自負するサンジのことだ。シャツのボタンの事で、その・・・・・。またゾロと喧嘩されて船を壊されれば、結局この俺様の仕事が増えるわけだしな。
今度からは力布でも付けておいてやることにするさ。もちろん、そっとだ。
まあ、大体いつもそんな時は、サンジはおやつを一番に俺様の所に持ってきてくれるのさ。大盛りでな。
ゾロはなぜか見張りや力仕事を代わってくれたりする。
お互いに何も言わない。男は・・殊にキャプテンは寡黙であれ!が俺様の信条だからな。
おお、もう行くのか。引き止めてしまって悪かったな。
帰ったなら、是非君の仲間に、この寡黙で勇敢な、仲間想いのキャプテン・ウソップのことを伝えてはくれないか。
そして、是非にと言うものがあったなら、喜んで部下に加えるという事も。
今度来る時の為に、止まり木と餌台を用意しておくことにしよう。
俺様は、仲間想いのキャプテンだからな!
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つる@ナミ |
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レディのたしなみ 2006-11-19 00:31:43 |
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あのねえ、言っとくけど。 そりゃあ私はお金が好きだけど、だからって守銭奴ってわけじゃないのよ。 本当に大事なものは何かなんてこと、ちゃ〜んとわきまえてる。 ……なによ、その不審な顔は。 ウォーターセブンでだって、1億ベリーよりベルメールさんのみかんの木の方が心配だったのよ?
そうよ、そのみかんの木。 不思議ね。こんな海の上を航海している船の木でも、どこからかちゃんと虫がつくのよね。 ベルメールさんのみかんの木は、特に美味しい実がなるからかしら。 だからきっちり手入れをしておかないと、みかんの実が虫に食われてしまう。 だけどそんな手入れ、私はたまに気が向いたときにしかしたことないわ。 それじゃあふだんは誰がその手入れをしているのかって…わかるでしょう。 サンジくんよ。
ねえ、でも彼、本当は虫が苦手なのよね? みかんの木の虫をとるときだって、死にそうに悲壮な顔してる。 それでもそうやって手入れをしてくれるのは、私のためでしょう? だったら私だって、彼にそれなりのお礼をしなくちゃと思うじゃない? 騎士の功労をねぎらうのは、レディのたしなみですもの。
だからね、あんたの誕生日に、上陸中の島で少しいい宿をとってあげたのは、 あんたへのプレゼントと、サンジ君の慰労を兼ねてるわけ。わかった? なによ、「抜け目ねェな」って。効率的と言ってほしいわね。 え? あとで高くつくんじゃないだろうなって? 失礼ねあんた。 別に私は何もしやしないわよ。サンジくんが虫にやられてても。 たとえみんなが寝静まった頃、サンジくんがみかんの木の下で大きな緑色の虫に押さえ込まれて、声も出せずに体中吸われてあざだらけになってても。 むしろ祝福してあげたいくらいだわ、幸せなのねって…え? 余計なことはするなって? 口止め料? だからそんなこと私は考えてないってば!
だけどもちろん、あんたが私の気遣いに感謝してぜひにって言うんなら、拒む理由はないけど? 騎士の献身を受け止めるのも、大事なレディのたしなみなんだから。
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もる@ルフィ |
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肉とおやつ 2006-11-21 23:32:21 |
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「あんた、昨日散々肉食べたじゃない!」 そう言うけどよぉナミ。いくら食べたって時間が経てばまた空いちまうんだよ。 昨日の晩も、さっき食った飯だって いつもと・・・・いやいや、まだ前の島を出たばかりだからいつもより肉の量も、料理の種類も多かったような気がすんだけど・・・ (サンジが言うには新鮮じゃないと出来ねぇ料理もあるんだってよ) 「とにかく腹減った!」 「いくら食料補給したばかりでも 海の上じゃ何が起こるかわかんないんだからサンジくんの言うことくらいちゃんと聞きなさい! あんたの選んだコックが言ってんだから!」 そうだ。 サンジは俺が選んだコックだ。 魚の形をしたレストランで出会った大事な仲間。
俺にとってサンジは特別だ。 コックなのに強ぇし、優しいし みんなの事をよく見ている。 何より美味い飯を作ってくれるしな! なのに。 サンジにとって俺は特別じゃない。 いや、 特別じゃないってのは違うな・・・。 大事にされてるのは解かってる。 ・・・・でも。 それは皆も同じだ。 だから特別じゃない。 特別ってのは・・・そうだ、アレだ! サンジの場合自覚はないみたいだけど周りに気を遣いすぎるからな。 変な気を使ったりせずに言い合ったり、 遠慮なしに喧嘩したり。 繕ったんじゃないサンジを向けられる相手、案外それが特別なのかもしれねぇな。 この船で言うと・・・ゾロか!? ん〜 ゾロがサンジの特別かって言うと いっつも喧嘩ばっかりだから違うかもしんねぇけど、 少なくとも俺達よりもゾロの方が、怒ったサンジの顔を見てるはずだ。 ・・・その代わり笑った顔はあんまり見てねぇかもな、ゾロの奴。 もったいねぇな、ゾロ。 あの笑顔知らないなんて・・。 ??知ってるから大丈夫?? 何言ってんだナミ? あいつら今だってあっちで喧嘩してんじゃねぇか。 あぁ。ほら見ろよあの凶悪そうな二人の顔。 普段、あんな喧嘩ばっかりなのによ、ゾロの誕生日の時はサンジ凄かったなぁ! ゾロが好む魚料理とか 煮物とかいろんなのつくってた。 肉もたらふく食えたし♪ なにより肉もいっぱいあったのがよかった、うん! 思い出したら腹余計減っちまったぞ。
・・・え!!ナミ おやつ残すのか? 本当にもらっちまうぞ?今更駄目だってもかえさねぇからな。 にししし・・ ロビンもいいのか! うん解かった、これ食べたら夜までは我慢する。 だからサンジ まだゾロと喧嘩してていいぞ。
ナミも。 ロビンも。 この船のクルーは、俺にとってみんな特別なんだ。 |
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めいれん@ロビン |
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仏頂面の一日 2006-11-23 23:03:55 |
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剣士さんの仏頂面。そう、あれが通常。マストに凭れ胡坐をかいてる。 船長さんたちと騒ぐでもなく、かといって鍛錬をしない時は無表情。よく言えば無心の顔立ち、悪く言えば仏頂面。 慣れない頃は怒ってると思ったって、船医さんも言ってたわ。いつもそうかといえば違うみたい。 「ロビンちゃぁぁ〜〜んv」視線が微かに動いてる。 「今日のティータイムの事なんだけど、スイーツは何をお好みかな!?」 目をハートにしたお茶目な彼が、楽しそうに問いかける。私のリクエストをひとつ、それから好みの ドリンクについて二言、三言。あぁ、剣士さんの口がへの字に曲がってきたわ。 これ以上彼とお喋りすれば、そろそろあの口から皮肉が飛んでくるのかしら。 そう思った時、彼は長鼻君に呼ばれて行ってしまった。そしたら、またいつもの顔。
「なんだと!?」 「幾らでも言ってやる!!」 ティータイムを終えた頃、剣士さんとコックさんが甲板で声を上げていた。理由?そう、いつもの痴話喧嘩。 見下ろすと、丁度剣士さんの怒鳴り声。通常モードを過ぎて、不機嫌そうね。怒った顔で凄い言葉。 プラス力をお互いぶつけ合っている。けれど、何だか楽しそうなの。さぁ、今回のバトルは何分かしら?
喧嘩が丸く収まったかと言えばNOね。大抵、間で航海士さんの審判が下るから。 それなら後腐れはあるかと言えば、やはりNO。 コックさんはいつも通り腕によりを掛け、食事を振舞っている。受け取る剣士さんも、相槌を一つ。 まるで何もなかったように。 彼らのそれは後ろめたさや悔しさを残さないから、喧嘩そのものをゼロに帰すのかしら。 そんな事を考えていたら剣士さんが皿を見て、ふっと口元を緩めた。 口元が彼の好物だと言っている。同時に、コックさんの目が優しく見える。 つられて見詰めたら、いつもの仏頂面に戻っている剣士さんが言った。「何、朝からジロジロ見てやがる」 …あら、気付いていたのね。 |
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リキン@サンジ |
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嫉妬 2006-11-25 23:52:47 |
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つる@ウソップ |
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オールグリーン 2006-11-28 10:53:08 |
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パーティーの準備は、部下たちに任せておいてよさそうだ。 ナミもロビンも乗り気だし、ルフィやチョッパーも喜んでる。 陰のキャプテンである俺様としては、ここは裏方に徹して、船の修理に励むとしよう。
なにしろあちこち壊されていて、このままでは航海に支障をきたすのだ。 船長はあれだし、それをたしなめる航海士もやり方が乱暴だし。 船医はおとなしい顔して、「あれ?」とか言いながら天然でボケて物を壊す。 考古学者は問題ないんだが、その分を補って余りあるほど、剣士とコックが…。 あ〜あ、また甲板に穴が開いてるじゃねェか。 ここから雨が入るってのに、何度言ってもわからねェんだなァ。 板を打ち付けて、目張りをしてと…よし、完了。 これでここはOK。安全だ。
船中の点検をして壊れた箇所を直し、最後に見張り台へ上った。 一人で見張りをするしかない場所だから、壊れることなんかないはずなんだが。 ああ…。壁板がはがれてる。穴が開いたら危ないじゃねェか。 昨夜の不寝番は…うん、たしかゾロだった。やっぱりな。
ゾロが不寝番のときは、見張り台が壊れていることが多い。 最初は、夜食の差し入れに来るサンジとまた喧嘩しているのだと思って、おれはゾロに文句を言った。 ゾロは顔色も変えず、「気にすんな」と言った。気になるわ! 埒があかないのでサンジに文句を言いにいこうとすると、なぜかそれまで全然動じていなかったゾロが、あわてた様子でおれをおしとどめた。 「わ、わかった! 悪かった! これからは気をつける」 ゾロのらしくもない取り乱しようをおれはいぶかしく思ったが、そのときはそれですんだ。
だがその後も、ゾロの不寝番のときに見張り台が壊れる事態がいっこうにおさまらないので、業を煮やしたおれは、こっそりサンジが夜食を持ってゾロの元へ行くのを見守っていた。 喧嘩している二人を現行犯でとっちめてやろうとしたのだ…が。 ゾロに夜食を手渡すサンジは笑っていて。 サンジを迎える見張り台のゾロもやわらかい表情で。 二人の手は互いの身体を抱き寄せ合って。 二つの影が重なって、ずるずると見張り台の壁の陰に沈んで行き。 しばらくたって、かすかな嬌声とともに見張り台が揺れ始めた。 そういうことだったのか…。 おれはそっと、その場を離れた。
そのときゾロは、おれに気づいていたらしく、翌日不器用な手つきで壊れた見張り台を直していた。 それからはまあ、基本的にゾロは、自分たちのアレのせいで壊れた場所は自分で直してくれるようになった。 だがおれの目から見ると、どうも今いち心もとないんだ。
だから今日はおれが、船中の修理をしたついでに、見張り台も直しておいてやる。 誕生日なんだ、それくらいささやかなプレゼントさ。 よし、壁板もこれで完璧。指差し確認OK! この俺様の乗る船は、いつでも装備がオールグリーンでなくちゃな。 …そういやゾロの頭も緑だ。 サンジならこんなとき、「オールマリモ!」とか言うのかな…ぷぷ。
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もる@チョッパー |
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亡霊の足音 2006-12-02 06:19:25 |
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「この船には亡霊がいる。」 そういったのはウソップだった。
俺にだって眠れない時がある。 そんな時はDr.が教えてくれたみたいに 目を閉じて羊を数えてみたり、今日一日何をやったか思い出したり、明日を考えたりする。 明日は、ルフィと釣りして、ウソップの新兵器開発を見せてもらって、ナミの蜜柑の木に付いた害虫を追い払う薬を作って、ロビンが薬に関する古い書物を見つけたってから読んでもらうんだ。 お昼の後には サンジのオヤツ作りを手伝って、ゾロのところにそれを運んで一緒に食べるんだ。もしかしたらゾロと一緒に昼寝もするかもしれないな。 いびきと寝言の充満する中でそんな事を考えていると その空間の上で、木板を歩く音が時折聞こえる。 仲間になってすぐの頃、音を潜めて歩く足音を暗闇の中で聞くのは、ちょっと怖かったりした。船に乗り始めた頃ウソップに聞いたら言われたんだ 「この船には亡霊がいる。」って。 ホントに怖かったよ。海賊船ってのはそういうもんかって思ったりもした。 でも、あれは、クルーの足音だ。 昼間より足音を忍ばせて、幾分ゆっくりと歩いているけれど、それぞれ特徴のあるクルーの足音。
今、丁度聞こえるのは、深夜にも仕事をしているサンジの足音のリズム。 ラウンジの階段を下りて・・・・マストの前で止まった。 今日の見張りは、確かロビンだ。 暫くしてまたサンジの足音が動いてラウンジに戻る。 不寝番に夜食を届けにいってたんだな。 俺の時にも届けてくれるんだ。 サンジの作ってくれるホットサンドとかミルクココアも俺、大好きだ。 いつも遅くまでスゲェよなサンジ。俺は、いつも眠くなっちまうのに・・・・今日みたいに寝れない日もあるけど。 いつも遅くまで起きてて、気が付くと朝にはもうサンジのハンモックは空になってて。 まだ寝ないのかな? ちゃんと寝ないと疲れが取れないんだぞ。
・・・・・・・。 ゾロ。まだ起きてたんだ。 いつもみたいに(男部屋にいないから)その辺で寝ちゃったのかと思ったら、ラウンジから出た足音がした。 格納庫に何の用だろう?ゾロの足音が格納庫に入って動かなくなった。 暫くして、ラウンジからでたサンジの足音も格納庫に消えた。 格納庫に何かあるのかな?うとうとしてきた頭で俺は考えてみたけど何も思いつかなかった。 |
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めいれん@ゾロ |
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昼寝の合間 2006-12-06 03:02:34 |
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甲板で昼寝をすると、たまに無意識なモンが飛び込んでくる。 丁度目が覚める瞬間。またはうっすら目が覚めかけ寝直す。そんな合間の話だ。 無意識なモン、そいつは色々ある。 何も考えてなさそうで、実は道行く先を見据えた様な船長のツラ。 邪魔だと言いやがって、踏みたそうな癖よけて通る、あの魔女の足。 寝てる俺へ悪戯をしたいが恐らく怖くて出来ない、そんな鼻とトナカイのひそひそ声。 雨が降り出すと決まって肩を叩く、どっからでも生えてくる女の腕。 中でも一番意外なのは、やはりあのコックだろう。起きてる時は顔をつき合わすたび、鉄砲みてぇに ガンガン口も足も高速なヤツだが。俺が寝てる時は例外らしい。 おやつでもない時に自分の前に立つ、あの気配。蹴りも言葉もねぇんで、うっすら目を開いたら。 やけに穏やかなツラを見せ、立ち去ってく黒い姿があった。 …あのアホが素直じゃねぇのはよく解ってるが、あの目が面と向かってじゃねぇって事が悔しい気がした。
あのツラを見て以来、クソコックが近付くと自然に眠りが解ける。 今日もまた、あのアホの気配。今は俺の前にでなく、真横。手すりに凭れてるのかもしれねぇ。 ヤツは上機嫌らしく、小さく鼻歌だ。いつまで経ってもこいつはそっから動かねぇ。 一体何をしてやがる、と目を開きかけた時。 「オールブルー」小さな呟きだが、確かに聞こえた。そうか、そういう事か。 片目を開きちらりと見遣れば、ヤツはその蒼を未知の海へと寄せていた。
この先の続くどこかへ、こいつの大きな夢が繋がっている。 いつか来るその日に、この前見た風なあの瞳が浮かぶといい。そう考えながら、もう一度目を閉じる。 「見つけたら一番に、シーフードスペシャルを振舞ってやるぜ?」「なぁ、マリモ?」 眠りかけた意識が再び一気に、呼び起こされた。 「お、お前…起きて…」 不意に腕を掴まれたアホが、面食らってますますバカ面を晒している。まったく、アホだ。 「この…アホが!!」 「はァ!?テメェ開口一番、どういう意味だコ…」 怒鳴る気満々の男を、引っ張り寄せる。体勢が崩れ、ヤツは俺の上へ尻餅をついた。 「そういうことは、起きてる時にはっきり言いやがれ!!」 拍子抜けしたアホに、顔をつき合わせて俺も言ってやった。 |
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リキン@ナミ |
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なぞなぞ 2006-12-10 17:56:20 |
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つる@ロビン |
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星降る夜の獣たち 2006-12-12 01:16:54 |
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不寝番は嫌いじゃないわ。 特にこんな、星のきれいな夜にはね。 にぎやかなクルーたちが眠りについて、しんと静まり返った空間でする読書は格別よ。 けれど、夜食の差し入れに来てくれたコックさんは、なんだか申し訳なさそうな顔をしていたわ。 「おれが代わってあげられるといいんだけど…」って。 いいのよ、気にしないで。 それよりあなたは、剣士さんについていてあげなきゃならないのでしょう?
今日は昼間、敵襲があって。 大した敵ではなくてすぐに片付いたのだけれど、剣士さんが毒矢に当たったらしくて。 倒れたまま、ずっと目を覚まさないの。 解毒剤は敵船から奪ったから、船医さんがすぐに投与したのだけれど…。 そして、剣士さんは顔色もよく脈拍も正常で、健康的ないびきをかいていたけれど。 とにかく目を覚ますまでは要観察、ということになったわけね。 それからずっとあのコックさんは、剣士さんが寝かされているラウンジをほとんど離れていない。
あら…この本に出ている史跡、確か昨日の新聞に紹介されていたわね。 新聞はどこにあったかしら…たぶんラウンジだわ。 ちょっと見るだけだから、取りに行くのも面倒ね。 オッホスフルール…。 ああ、あれね。剣士さんの寝ているマットの脇に片付けてある。 あら…コックさん? 剣士さんの傍らに腰を下ろして何をしているのかしら。 規則正しく寝息を立てる精悍な顔をじっと見つめている。
なんて切ないまなざし。 声は聞こえなかったけれど、唇が『ゾロ…』という形に動いたわ。 そうしてコックさんは眠り続ける剣士さんの上に覆いかぶさり、頬に刻まれた矢傷を舐め始めた。 まるで、傷ついたつがいの相手を癒そうとする獣のように。
この優しいひとに、こんな哀しい顔をさせるなんて。 剣士さん、あなた早く目を覚まさなければいけないわ。
コックさんを慰めようと、私は彼の肩に腕を生やして、形のよい頭を撫でてあげようとしたのだけれど。 突然、ばちっと音がしそうな勢いで、剣士さんが目を開いた。 自分の頬に舌を這わしているコックさんには目もくれず、鋭い眼光でハナハナの手を睨みつける。
昼からこっち、まったく目を覚まさなかったのに。 コックさん以外の人間の気配を感じ取って、警戒心を抱いたのね。 ナーバスになっている、手負いの獣そのものね。 だけど私は、あなたのつがいの相手に手を出したりする気は毛頭ないのよ。
新聞を見るのは明日にしましょう。 私は再び、見張り台での読書に戻ったわ。 今夜は本当に星がきれい。 つがいの二頭にふさわしい、ロマンティックな夜ね。
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もる@ゾロ |
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コックの魔法と剣士の魔法(1) 2006-12-20 01:57:49 |
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「いつか。『あの頃は』なんて昔話を誰かとするんなら、他の奴らじゃなくてめぇとしてぇなぁ。」 「毒喰らった昨日みてぇな日も、そん時にゃ笑い話・・・・。いや、ホントは寝こけてただけなんて、今でも笑い話だけどよ・・・。」 「歳くっちまったら・・・。たまにゃぁ、・・・てめぇと会う事もあるのかねぇ?」
不覚にも敵の毒にやられて意識をなくした翌日だった。 寝過ごして飯を食いっぱぐれたまま不寝番になった俺に、腹に入れとけと皿を渡すと コックは視線を海にやって独り言のようにポツリと話し出したんだ。 何の話からそうなったのか解からないが、珍しく真面目に話し始めたそれは、半分を過ぎる頃にはふざけた調子に変わり。 そうして見せる顔は作り笑いのように儚く見えて 俺はなんだか締め付けられるような痛みを感じた。
サンジの作る美味くて温かな料理は、クルーをラウンジに引き寄せる。 その食事を口にしたものは例え少量でもその味に満足した表情を浮かべ。 腹が膨れるだけでなく心の奥底をほんわかと温める。 さっきまで敵だった奴でさえ、コックの食事を口にすればそれだけで打ち解けたように心を開き始めるんだ。 それは俺には到底まねできない魔法だ。 今日もラウンジはサンジの魔法で賑やかだ。 「ゾロー。体の方はもういいのか? 今日も串団子振り回してたけど無理はやめとけよ?」 「団子?団子どこにあるんだ?隠すなよウソップ!」 「うぉーーっ、ルフィ無ぇよ、そんなとこにゃ隠しゃしねぇよ。」 手に持った最後の肉をゴクリと咀嚼すると 船長はうまそうな単語を口にした狙撃手のオーバーオールの肩紐を引っ張りその腹の中を探ろうと手を伸ばし。 それから逃れる為に立ち上がった勢いで狙撃手は派手に椅子を倒した。相変わらず煩い奴らだ。 「うっさいわねぇ。」 「まだ食事中よ。」 ナミの鉄拳と同時に 次々に現れた腕で戻された椅子に二人は強制的に座らされ、頭には出来たばかりの瘤が湯気を立てている。 この船の女共は実に大胆で、その潔さの中にはたまに思いやりもあり・・って・・・あるのか?・・・コック曰く『大変魅力的』なのだが。 「俺にはとてもわからねぇ。」 魔女にも例えられる事のある女達に 俺はそんな感情を抱く気持ちがわからない。 声に出したつもりは無いが どうやらそれを口にしていたらしい。 「え?ゾロまだどこか調子悪いのか?」 皿に残ったスープをパンの欠片で掬っていた船医が 俺の呟きに顔を上げると心配そうに眉を寄せた。 「いや。もうなんともねぇ、ありがとなチョッパー。」 「本当か?気になる事あったらすぐに言えよ。」 あぁ。と軽く返して何気なくコックを見れば、こちらを見るその目が一瞬心配そうに揺れた。 だがそれも俺と目が合うとなりを潜め、代わりに口端を引き上げ見慣れた挑発的な顔になり 口からは嫌味とも取れる言葉があふれ出す。 人前での言葉や態度とは裏腹な、とても素直とは言えねぇコイツにいらぬ心配はさせたくない。第一体調はもう万全だ。 コックからの売り言葉に乗って俺は言葉を返し、いつものように喧嘩になりかけたところで、こちらにもナミの制裁が向けられる。 「まったく。 あんた達ってば、毎度毎度元気ねー。・・・毒ぐらいじゃあんたは死にやしないわよねー。」 いってぇなぁ。人の頭をぽかぽかと殴りやがって、この女。 どちらかと言ゃぁ、てめぇのほうが容赦ねぇと思うが・・? 「そうですよ〜ナミさんvvこのマリモには毒は効かないンですねー、・・・お前新種か?」 ナミにハートを飛ばし、振り返りバカにした顔で俺を見る。 ・・・新種はお前だクソコック。 「けっ、馬鹿が。」 「なんだとぉ。」 小さな呟きも聞き逃さないコックの投げたお玉が、避けることをしなかった俺の頭に命中する。 (あ、やべぇ。) という顔を一瞬だけ覗かせて 「とろくせェマリモだな。」すぐにいつものクルーの前での顔に戻る。 こんなコックの仕草が可愛いと思う。 俺の小さな言葉も聞き逃さない。ホントは心配してんのに表には出さない。・・・二人っきりの時にはもう少し素直なくせに・・。 全く可愛い奴だ。・・・こんな事本人にゃ口が裂けても言えんがな。
鼻の残していた肉をルフィが横取りした揉め事の方にコックは行ってしまった。チッつまんねぇな。 「「ウフフフ。」」 ナミとロビンが顔を見合わせて笑っている。 「なんだ。」俺を見て笑ってんじゃねぇ、こいつら気味悪ぃ。 「剣士さん、顔が緩んでるわよ。」 なんなんだ。この女は侮れねぇ。昨日も二人でいるところに出てきやがって(手だけだったけどよ)。何を考えてるんだか未だにわかりゃしねぇ。 「や〜ね。」 この魔女。何が『や〜ね。』だ。てめぇのその含み笑いの方がよっぽど『や〜ね。』だぜ。 ドタバタと追いかけられたルフィがテーブルの周りを走り、手を付いた拍子に皿が勢いよくひっくり返る。 運悪くそのとばっちりを受けたコックの顔にホワイトシチューの飛沫が飛んだ。 まだ走り回ってたのか馬鹿どもめ、・・・コック。その顔やらしいぞ。 「もったいねぇ。」 !! 何しやがんだ!この野郎離れろ。 ルフィは逃げるのをやめると コックの頬に付いたシチューをぺロリと舐めた。 ひっぱがそうと腰を浮かすのと同じ頃 ナミが声を押さえて笑い出す。?・・気でも狂ったかこの魔女? 静かになったラウンジの注目を浴びると 魔女は、『ごめんごめん』と言いながらまた少し笑った。 「あんた達毎日飽きないわねって思ったらつい・・・。」「なんかねー。いつまでこんな風にしてられるのかしらっておもって。」 「俺はじいさんになっても冒険を続けるぞ。」 巻き付いていたコックから離れるとルフィは意気揚々と腕を上げた。 ・・・ようやく離れたか、もう勝手にくっつくんじゃねぇ。 他の奴らもそれぞれ何か言ってたが俺は、コックが舐められた頬を腕で拭うのをじっと見ていた。 よしよし、ルフィの痕跡なんて残すんじゃねぇぞ。 「──サンジくんは 年取っても今のままなのかしらね〜。」 「俺?俺はナミさんやロビンちゃんにいつでも一番に給仕しますよー。麗しいレディお二人とはいつまでも・・・・・。」 ナミの声に コックがメロリーンと鼻の下を伸ばす。そんなだらしねぇツラしてんじゃねぇよ。 『いつまでも』?何言ってやがるこのぐる眉。 いつまでも一緒なのは俺と だろうが。ちくりと腹の辺が騒ぐ。 なんだこれ。 つい最近もこんな感じがあった。・・・あぁ。船縁でコックの独り言を聞いた日だ。 『歳くっちまったら・・・。たまにゃぁ、・・・てめぇと会う事もあるのかねぇ?』 引っかかったのはこの言葉だ。 お前の未来で俺は何処にいる? そこでも俺は迷子なのか?
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もる@ゾロ |
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コックの魔法と剣士の魔法(2) 2006-12-22 07:38:07 |
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『歳くっちまったら・・・。たまにゃぁ、・・・てめぇと会う事もあるのかねぇ?』 少し儚げな横顔と台詞を思い出した。 先の未来を危惧するコック。 俺たちは海賊だから安穏な未来が有るとは限らねぇし、歳くった先の生死なんてわからねぇが、 生きている限り俺はお前を離す気はねぇ。 だがお前の口ぶりだと少し違うみてぇに感じるのは気の所為か? ・・・・お前がそんなつもりなら 少し思い知らせてやらねぇといけねぇ。 ルフィが海に落ちた日に 『チョッパー以外の奴には触らせねぇ』って言ったよな。何ルフィに舐められてんだよ、おまえ自身も気をつけろ! 狸寝入りをしていた俺にオールブルーを 『見つけたら一番に、シーフードスペシャルを振舞ってやるぜ』って言ったじゃねぇか。ナミとロビンにいつでも一番に給仕するだと? 普段ならいいが、約束の日がやってきたらお前はどうする気だ。 日付の変わったあの時間に 『来年の誕生日にも、いちばんにおれの視界に入るのがてめェだといい』 と。 夜明けに『来年も、再来年も・・・・その先も、一生な。』と。互いに話したじゃねぇか。 あれらは、先の・・未来の『約束』だろ。 俺はそれを守るぞ。お前ごと。 その深さを思い知れ、クソコック。
「コック。お前はジジィになっても俺の隣だ。いつまでも、だ。手放しゃしねぇぞ、絶対に。」 クルーの視線が ガタンと音を立てて立ち上がった俺に集まった。 脈絡の無い話題の内容に騒がしかったラウンジが一瞬で静寂に包まれる。 一番ぽかんと口を開けて呆けているのは言われたコック当人だ。 面白れぇ。
「聞いてくれ。俺とコックは・・・」力んだのはいいものの。 ちくしょう。 うまい言葉が出てこねぇ。 「ツガイだろ!?」 「・・・・・・・・・・え!?」 一番気付いてなさそうだった船医が、意外な一言を漏らす。 ほぉ、案外的確じゃねぇかチョッパー。 「まぁ。そんなもんだ。 だからコックには誰も手ェ出すんじゃねぇぞ。」 「お、俺は気が付いてたぞ(つい最近な) お前らの事はいつも温かい目で見てたんだ。 キャプテンウソップ様は船の内情に詳しいのさ。 」 鼻の下を人差し指で擦りながら何故か得意げにウソップが言う。 そうだな、お前は知ってるんだよな。 「生温いの間違いだろ・・・これからも頼むな。」 「・・・え・・・・・・・ええ??」 「剣士さん、コックさんをもう悲しませないでね。」 「これで解かったろ? もう覗くな。」 「あら覗いたんじゃないわよ? たまたまちょっと用があっただけ。」 「・・・・・・・!」 しれっと、微笑む女は咲かせた手で デザートにとシンクの脇に並べられていた皿をテーブルに運ぶ。見慣れたとは言え器用な動きだ。 「お前も、コックがなんと言っても本気にするなよ? コックは渡さねぇからな。」 「今更、何言ってるのよ。 だッたら二人に宿なんかとる訳無いじゃない。」 「えええええええぇぇぇぇぇぇ!!ナミさん ロビンちゃん!!??」 呆気にとられて固まったままのコックの鼻を指で弾くと ふふんと魔女は小悪魔のように微笑んだ。 コックは女に向かって壊れたおもちゃのように 口をパクパクと動かしてはいるが声になってはいない。 今までクルーにはわざわざ知らせる事はないと、なんとなく隠れたように過ごしていたが、別に俺は隠していた訳じゃねぇし。 こう言っておきゃぁ、コックが讃美してやまない この女共が勘違いしねぇように釘もさせるし。 なんだ。 じゃぁこそこそするこたぁ無かったんだな。 「チョッパーいつ気が付いた?」 コイツにだけは気づかれてねぇと思ってたのに・・案外曲者だ。 「朝一番でサンジの側に行くとゾロの匂いがするから・・・。何でかなーと思ってたんだけど 昨日・・・。」 ん?コックが我に返ったみてぇだ。 「な・・・何見たんだチョッパー?・・・いや!何も言わなくていい、言わないでくれっ。」 コックの顔は赤くなったり青くなったり忙しい。 ぐる眉を下げたり上げたり表情も目まぐるしく変わる・ やっぱり見てて飽きねぇ面白い奴だ。 その後ろで。((見ちまったんだなチョッパー))と青ざめる鼻と、ニヤニヤとこちらを伺う魔女の姿が見える。 とりあえず、黙認されてたみてぇだから、今のところコックにちょっかいを出す命知らずな馬鹿はいないだろう。 「この腐れクソマリモ、てめぇ何言ってくれてんじゃい!!」 シャツを千切れんばかりにわし掴み真っ赤な顔のコック。 クルーよりもコイツの方が難関かも知れねぇ。 ヘソ曲げられても厄介だしな。 どうすっか? ・・・あぁ; ガァガァとうるせぇ口だ。 グイと腰を引き寄せて小せぇ頭を押さえると構わず唇を重ねる。 暴れようが何しようが放さねぇ。 後ろで「ヒィ〜〜ッ」とか「子供は見ないのよ」とか聞こえるが関係ねぇ。 ・・・既成事実ってやつだ。 開いた隙間に舌をねじ込み コイツのいいところをこれでもかと舐め上げる。 逃げようとする身体をきつく寄せる。 たっぷりと時間をかけて味わえば。 やがて突っ張っていた手が背に回され おずおずと俺の舌に答え始める。こうなりゃこっちのモンだ。 一層口付けを深くして堪能する。 すっかりここが今どんな状況なのかすっ飛んじまったらしく 大人しく身を任せるようになったコックの身体をそっと放す。 「俺の道案内はいつだってお前だ。ジジィになっても離れる気はねぇから。サンジ、覚悟しとけ。」 「おぅ・・・。」 言葉を理解したのか、やがて俺を見るコックの顔が蕩けるように微笑んだ。それは見惚れるほどの表情で。 くぅーーっ、このままくっちまいてぇ。
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もる@ゾロ |
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コックの魔法と剣士の魔法(3) 2006-12-24 21:52:06 |
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「あぁ!そうかー。そうだったのかー。」 ポンと手を打つのんきな声がラウンジの空気をがらりと変えた。 「なんだ、ゾロとサンジはすっげぇー仲良しなんだな!そっか、そっか。」 やたら静かだと思ったら今頃気づいたか船長。
「あんた、理解するの遅すぎ。・・・って、なにデザート全部食べてくれちゃってんのよ!」 コックはナミとルフィの声に恐る恐るといった表情で視線を走らせると、状況を思い出したのか顔を強張らせて再び真っ赤になった。 「ナ・・ナミさん、これは・・・・このクソマリモと俺は・・・何の関係も・・・・。」 フルフルと体を震わせラウンジに集まるクルーを見渡してやがる。 あんなツラみんなに見せといて今更遅ぇよコック。 「サンジくん、航海に支障ないなら構わないから。・・・・それよりデザートよ。食べたかったのに。」 それよりって、そんな扱いかよ おい。 見れば考古学者の並べた皿はすっかり空になっていた。 鳴りもしない口笛吹いてあらぬ方向を向くルフィだが、犯人はおまえしかいねぇだろうが。 「あらホントね。楽しみにしていたのに。」 残念だわ と続ける女の横で 鼻と船医も食べたかったと嘆いている。そうだな、コックのデザートは格別だからな。 甘みを押さえた俺仕様のデザートを思い出し喉がゴクリとなった。 俺も食いたかったぜ。ま、いいか、もっと美味ぇもん味わったからな。 「ルフィ。てめぇナミさんやロビンちゃんの分まで!勝手に食うんじゃねぇ!!」 食べ物の事でようやく正気に戻ったか、クソコック。反応がおせぇぞ。 「悪ィ悪ィ。 みんなゾロとサンジがくっついてる方ばっかじっと見てっから、いらねぇのかと・・・。」 「なっ、てめぇ。」 コックが言葉を詰まらせている、ここは俺がびしっと言ッとかねぇとな。びしっと。 「ルフィ、コックの許可無く勝手に食うな。それと、こういう訳だ、コックに手ェ出すなよ。」 「なー、サンジ。チューってうまいのか?」 「チュ・・・!!!!!!!!!」 おいコラ。 その伸びてる腕は何なんだ。何考えてやがる?ルフィはにししと笑い 人の話なんか聞きいてやしねぇ。 「なー、ゾロ?」 ん?俺に聞くのか?そりゃぁサンジとのキスは・・・・ 「あぁ・・・さ 「こンのクソゴム! 腐ったマリモもいっぺん頭冷やしてこいやぁ!!クソ野郎どもが」 最高だ。と俺が答える前にルフィの身体が吹っ飛んだ。 タイミングを見計らった鼻が開けた扉を通過し飛んでいく。 と、俺の腹にもコックの蹴りが入って視界がぶれた。 相変わらずいい蹴りしてやがる。考えるまもなく 俺の身体もラウンジを飛び出て気づけば海に落ちていた。 溺れかけているカナヅチを回収して船を目指す。全く、能力者ってのは厄介なもんだ。 ぐる眉め、思い切り蹴飛ばしやがって、船が遠いじゃねぇか。 あの調子じゃあっちの方は暫くお預けか? チッ。さっきのあのキスの続きを想像するだけでこっちは軽く3回はイケそうだってのに。 ・・・・だが。少々荒っぽかったが俺の考えは通じたな。 あの蕩けるような微笑みはそういうことだろ?
下ろされた縄梯子を半分ほど進むと 細い女の腕が船壁に現れてぎょっとする。突然の出現には未だ慣れねぇ。 「ゾロ、よかったわね。サンジくんあんたのこと認めたわよ。聞き出したあたしに感謝してよね。・・・・・って、航海士さんからの伝言。」 俺を蹴り飛ばした後、魔女共に問い詰められて白状したらしい。 魔女からの伝言は終わったのに口の咲いた腕は俺を追って移動する。なんだってんだ。 「剣士さん、貴方って凄いのね。コックさんのあんな顔。貴方の言葉一つでコックさんは満たされるのね。今も航海士さんに貴方の事聞かれて素っ気無い振りしてるけど コックさんたら嬉しそうな顔が隠せないみたい。」 思わせぶりに女が笑う。覗いてみたら?と囁く女の声が珍しくどこかはしゃいで聞こえた。 登りつめた船縁から顔を半分出して声のするほうを見れば。 勘弁して・・と言いながらも魔女の問いに逆らえないコックが、普段魔女共に向けるのとは違った自然の笑みを今日は時折こぼしていた。 「貴方はコックさんだけの魔法使いなのね。」 そう残して細腕が消えた。
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